[大人の成長塾]

[大人の成長塾]卒論 #1

「からの巣症候群を超えて」

N.Fさん 58歳 女性 翻訳業

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  • 大人の成長塾の卒論について、今後、折につけ読むであろう自分を意識して書いてみる。私は58歳の女性だ。日本の教育を無批判に受け、現代的価値観にどっぷり浸かっていた。過去形にできるかどうかわからないが。村松氏の指摘どおり、他人に評価され、他人と比べられて、自分がどう評価されるかをいつも気にしていた。自分で自分をつねに評価しようとし、その評価基準は他人のものだ。自分に自信がない。本当に的を得た指摘だと思っている。娘の結婚がなければ、このことには気づかなかったかもしれない。
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  • 娘とは仲がいい。娘が突然結婚すると言ってきた。妻、母以外の自分の世界を持ちたいと、下の子が小学校くらいから在宅で翻訳の仕事をしていた私は、子供に依存する、つまりからの巣症候群のようには絶対ならないと高をくくっていた。しかし、わが身の心の不安定さに驚いた。それが寂しさだと気づくまでに時間がかかった。子供たちが自分で選んだ人なら絶対反対しないと常日頃言っておきながら、結婚相手にそんな気持ちになれず、一方的に進んでいく結婚に保守的なことを言ったり、要求したりして娘を傷つけた。私はリベラルな考えの親だと思っていたが、何か得体のしれない自分を感じて自己嫌悪に陥っていた。そんなとき村松氏の大人の成長塾を知った。村松氏については「文章王」などの本を通じて存じ上げており、悩める人への適切で優しく温かいアドバイスに感銘を受けていた。私の兄が青年期にうつ病を発症し、入退院を繰り返したことも、村松氏のアドバイスに興味を持った理由かもしれない。
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  • 私は私が思っているような私ではなく、結構上っ面だけ整えた人間なんだと思った。何より娘を傷つけたことで最低な母親だと思った。当時は心が晴れなかった。
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  • 私は偏差値世代である。良い高校、良い大学へ進学することが幸せであるという保守的な考えの親の元で育った。ただ両親は女性の私が仕事を持つことにはさほど興味がなかったと思う。そこには若干の反発があった。親から物理的にも経済的にも自立したい私は航空会社へ就職した。当時競争率の高い就職先だったことで親の何かを満足させたのか親に反対されることもなく、いわゆる順調に過ごし、夫と結婚し、子供二人に恵まれた。出産前に退職した。
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  • 子供が一番大切と思いながらも、母、妻以外の自分が欲しかった。コーチングを受けてはっきりわかったのだが専業主婦というレッテルを貼られたくなかったのだ。努力することこそが大切と考えていた私は専業主婦の私を評価できなかったのだろう。いつも自分を評価しようとしてたから。。。生計に困っていたわけではないが、自分が収入のない人間と思われるのが嫌だった。
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  • 退職後、情報処理技術者の資格試験、旅行取扱主任者の試験、独学で通訳検定試験にパスした後に通訳養成学校に通い、子供が二人いて通訳の仕事は無理だと考えると、今度は翻訳の勉強をして下の子が小学校低学年のときに在宅でITの翻訳の仕事をスタートした。要は、在宅で仕事し子育てに大きな穴はあけず、わずかばかりではあるものの収入のある女性という自分を整えたわけだ。他人からどう評価されるかを気にしながら。資格試験などすべて外に向かったベクトルだった。
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  • 娘の結婚がきっかけで心が迷子になった私が大人の成長塾でコーチングを受けるようになってからどんな変化があったか振り返ってみる。私の「行」は朝食前に風呂掃除をし一滴残らず水滴を拭くことと、家じゅうの蛇口のステンレスを磨くことだ。今も続けている。
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  • 仕事は辞めた。翻訳の仕事は最初はコーヒーを飲むのも忘れるぐらい集中してやっていたが、途中から翻訳とは呼べないような仕事内容になり興味を失っていた。英語が好きで始めたのにオフのときは英語を見るのも嫌だった。仕事を辞めてから英語が楽しい。CNNのニュース、HULUの海外ドラマなど、特に英語の発音に興味が沸き何冊も本を買って読んだ。そのうちネイティブの人から教わりたいと思っている。
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  • 引っ越した。家じゅうの窓から木々が見える。子供部屋はない。
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  • 太極拳を始めた。座りっぱなしだった身体に血を循環させる感じだ。成長塾で教わったとおり身体を動かすことは本当に大事だと思った。じっとしていると頭が暴走するときがある。そういうときはさっさと掃除するか、太極拳するか、動き出すようにしている。
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  • 以前からしたいと思っていたフラワーアレンジメントを始めた。
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  • カウンセラーになるための講義を受けてみたいと思っている。
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  • これらは求心的なベクトルだと信じる。私は「小さく動き続ける」。太極拳年齢もフラワーアレンジメント年齢も若い。元気いっぱいだ。
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  • 成長することは自然なこと。自然体。必死に努力することで得られるものではないんだ。少しでも自分が楽しいと感じる方向ににじり寄っていく、そんな感じでしばらく過ごしてみたい。自分の樹木の地図をたくさん増やそう。地図の間を自由に行き来して、光合成をいっぱいする、しっかりと根を張った太い幹の樹に育てるんだ。
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  • 心が迷子になったときに大人の成長塾が目に留まった私は幸運だった。今後の人生の大切なコンパスだ。
  • この[大人の成長塾]は、その「成長」をサポートすることだけに絞った大人のための塾です。
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